強い奴と戦いたい ただそれだけだった
純粋で平凡な 鍛冶屋の一人息子
国に焦がれた彼は己を売り込み
騎士団長に認められ 国を守る兵士となった
やがて彼は仲間を知った
戦いを知った
力を知った
居場所を知った
そして彼は幸福を覚えた
彼は誰よりも国が好きだった
彼はいつの間にか溢れるほどの信頼を得ていた
王からも仲間からもたくさんたくさん愛されていた彼は
ある時は王を探る仲間の内通者 ある時は仲間を監視する王の諜報員として
たくさん国の役に立った
やがて彼は敵意を知った
裏切りを知った
殺人を知った
人の死を知った
そして彼は絶望を覚えた
国と仲間に愛された青年は やがて破壊を知り殺戮兵器へと成り果てる
自分がとっくに国に壊されてしまっている事にも気づかないまま
End.