迷子のお知らせ

道化師は嗤っていた。

 

夜の路地裏に声を響かせながら。

 

道化師は嗤っていた。

 

右手にキラリと刃を煌めかせながら。

 

「迷子のお知らせでーす。心当たりのある方はボクのところまでー…♪」

 

道化師は赤く染まった男の子と手を繋いで歩く。

 

「大丈夫だよ?心配しなくても、ボクが会わせてあげるからね♪」

 

2人の歩いた道が、男の子から流れる赤によって彩られる。

 

「――君のママも、すぐそっちへ向かわせてあげるからさ」

 

道化師は1人嗤い続ける。

 

男の子はもう、動かない。